1/3
https://www.jcr.co.jp/
18-I-0009
2018 年 4 月 26 日
株式会社日本格付研究所(JCR)は、以下のとおり信用格付の結果を公表します。
フィリピン共和国
(証券コード:-)【据置】
外貨建長期発行体格付 BBB+ 格付の見通し 安定的 自国通貨建長期発行体格付 BBB+ 格付の見通し 安定的
■格付事由
(1) 格付は、堅調な内需を背景にした高水準の経済成長率、対外債務の減少や外貨準備の蓄積等にみられる対
外ショックに対する耐性、比較的良好な政府財政ポジションなどを評価している。他方、近年、政府によ
る取組に進展が見られるものの、インフラの拡充を中心とする投資環境の改善が引き続き政策課題となっ
ている。ドゥテルテ政権は、フィリピン開発計画(17~22 年)に基づきインフラおよび社会福祉の拡充
に取り組んでおり、その追加財源確保のため税制改革法(TRAIN)の第 1 弾法案を成立させた。さらに、
政府は、政府債務残高 GDP 比を中期的に低下させる計画であり、生産的支出の拡大と財政規律の維持を
両立させる方針である。政府の堅実な経済政策運営の下、フィリピン経済は引き続き内需を牽引役として
堅調な成長を維持するとみられる。以上を踏まえ、格付を据え置き、見通しを安定的とした。
(2) 東南アジアで第2位の人口(約1億人)を有する島嶼国家で、一人当たりGDPは2,989米ドル(17年)
である。生産年齢人口比率の中長期的な上昇が見込まれ、内需の拡大および労働供給の両面から成長の下
支えが期待される。政府が策定した公共投資プログラム(17~22 年)では総額 1,532 億米ドル(17 年
GDP の約 5 割)のインフラ投資が計画されている。このうち 62%を政府、13%を ODA から調達する計
画であり、官民パートナーシップ(PPP)を含む民間資金に過度に依存したこれまでの計画に比べ実現可
能性は高いとみられる。
(3) 政治社会面では、政府は同国南部のミンダナオ島マラウィ市での反政府勢力による暴動発生を受け、17
年5月に同島全域に戒厳令を布告した。戒厳令の期限は18年12月末までとなっているが、暴動は17年
10月に終結しており、投資環境面への影響は限定的なものに留まっているとJCRはみている。
(4) 17年の中央政府財政赤字はGDP比2.2%と、16年(2.4%)から小幅減少した。政府はインフラ支出およ
び社会福祉支出を今後中期的に大幅拡大する方針で、TRAIN、利払負担軽減分、および歳入庁、関税庁の
機構改革から生ずる増収分を当該支出に充当する方針である。17 年 12 月に包括的税制改革プログラム
(CTRP)の下での最初の改革法案であるTRAINが成立した。TRAINは2018年単年で900億ペソ、2018
年から 2022 年までの間で総額 7,880 億ペソの増収が見込まれており、増収分の 7 割をインフラ支出、3
割を社会福祉支出に充てる計画である。一方、政府は財政赤字を GDP 比 3%以内に抑え、債務残高を 17
年末 GDP 比42.1%から22 年末同37.7%に低下させる計画である。今後の CTRP の進捗およびインフラ
支出の執行状況を注視していく。銀行部門は健全性が維持されている。17 年末の不良債権比率(ユニバ
ーサルバンクおよび商業銀行)は 1.2%と低位に止まり、自己資本比率(連結ベース)も 15.0%と高水準
に維持されている。
(5) BPO 産業収入を主因とするサービス収支黒字と、堅調な海外労働者送金を主因とする第二次所得収支黒
字が財貿易赤字を埋め合わせ、経常収支は03年~15年の間黒字を維持してきた。16年以降は資本財輸入
の拡大を主因に財貿易赤字が拡大し、経常収支が赤字となったが、17 年の赤字幅は GDP 比 0.8%と低位
に止まる。今後もインフラ開発計画の下で経常収支は小幅ながら赤字が続くとみている。一方、金融収支
2/3
https://www.jcr.co.jp/
達した。今後も投資環境改善に向けた政府の取組を背景に高水準の FDI 流入が持続し、経済基盤の強化
につながるか注目していく。外貨準備高は短期対外債務残高の 5.7 倍(17 年末)に達し、対外ショック
に対する耐性は高い。対外債務 GDP比は低下傾向にあり、17 年末は23.3%と BBB レンジの国の中でも
低水準にある。
(担当)田村 喜彦・遠藤 進一
■格付対象
発行体:フィリピン共和国(Republic of the Philippines)
【据置】
対象 格付 見通し
外貨建長期発行体格付 BBB+ 安定的
自国通貨建長期発行体格付 BBB+ 安定的
3/3
https://www.jcr.co.jp/
格付提供方針に基づくその他開示事項
1. 信用格付を付与した年月日:2018年4月23日
2. 信用格付の付与について代表して責任を有する者:増田 篤
主任格付アナリスト:田村 喜彦
3. 評価の前提・等級基準:
評価の前提および等級基準は、JCR のホームページ(https://www.jcr.co.jp/)の「格付関連情報」に「信用格付の
種類と記号の定義」(2014年1月6日)として掲載している。
4. 信用格付の付与にかかる方法の概要:
本件信用格付の付与にかかる方法の概要は、JCR のホームページ(https://www.jcr.co.jp/)の「格付関連情報」に、
「ソブリン・準ソブリンの信用格付方法」(2014年11月7日)として掲載している。
5. 格付関係者:
(発行体・債務者等) フィリピン共和国(Republic of the Philippines)
6. 本件信用格付の前提・意義・限界:
本件信用格付は、格付対象となる債務について約定通り履行される確実性の程度を等級をもって示すものである。
本件信用格付は、債務履行の確実性の程度に関しての JCR の現時点での総合的な意見の表明であり、当該確実性
の程度を完全に表示しているものではない。また、本件信用格付は、デフォルト率や損失の程度を予想するもので はない。本件信用格付の評価の対象には、価格変動リスクや市場流動性リスクなど、債務履行の確実性の程度以外 の事項は含まれない。
本件信用格付は、格付対象の発行体の業績、規制などを含む業界環境などの変化に伴い見直され、変動する。ま
た、本件信用格付の付与にあたり利用した情報は、JCR が格付対象の発行体および正確で信頼すべき情報源から入
手したものであるが、当該情報には、人為的、機械的またはその他の理由により誤りが存在する可能性がある。
7. 本件信用格付に利用した主要な情報の概要および提供者:
・格付関係者が提供した経済・財政運営方針などに関する資料および説明
・経済・財政動向などに関し中立的な機関が公表した統計・報告
8. 利用した主要な情報の品質を確保するために講じられた措置の概要:
JCR は、信用格付の審査の基礎をなす情報の品質確保についての方針を定めている。本件信用格付においては、
発行体もしくは中立的な機関による対外公表、または担当格付アナリストによる検証など、当該方針が求める要件 を満たした情報を、審査の基礎をなす情報として利用した。
9. 非依頼格付について:
本件信用格付は格付関係者からの依頼に基づかない信用格付である。国に対する信用格付である場合を除き、依
頼に基づく格付と区別するため格付記号の後に「p」を表示している。格付関係者からは、信用評価に重要な影響を及
ぼす非公表情報を入手している。
10.JCRに対して直近1年以内に講じられた監督上の措置:なし
■留意事項
本文書に記載された情報は、JCRが、発行体および正確で信頼すべき情報源から入手したものです。ただし、当該情報には、人為的、機械的、また
はその他の事由による誤りが存在する可能性があります。したがって、JCRは、明示的であると黙示的であるとを問わず、当該情報の正確性、結果、
的確性、適時性、完全性、市場性、特定の目的への適合性について、一切表明保証するものではなく、また、JCRは、当該情報の誤り、遺漏、また
は当該情報を使用した結果について、一切責任を負いません。JCRは、いかなる状況においても、当該情報のあらゆる使用から生じうる、機会損失、
金銭的損失を含むあらゆる種類の、特別損害、間接損害、付随的損害、派生的損害について、契約責任、不法行為責任、無過失責任その他責任原因
のいかんを問わず、また、当該損害が予見可能であると予見不可能であるとを問わず、一切責任を負いません。また、JCRの格付は意見の表明であ
って、事実の表明ではなく、信用リスクの判断や個別の債券、コマーシャルペーパー等の購入、売却、保有の意思決定に関して何らの推奨をするも
のでもありません。JCRの格付は、情報の変更、情報の不足その他の事由により変更、中断、または撤回されることがあります。格付は原則として
発行体より手数料をいただいて行っております。JCRの格付データを含め、本文書に係る一切の権利は、JCRが保有しています。JCRの格付データ
を含め、本文書の一部または全部を問わず、JCRに無断で複製、翻案、改変等をすることは禁じられています。
■NRSRO 登録状況
JCRは、米国証券取引委員会の定めるNRSRO(Nationally Recognized Statistical Rating Organization)の5つの信用格付クラスのうち、以下の4クラス
に登録しています。(1)金融機関、ブローカー・ディーラー、(2)保険会社、(3)一般事業法人、(4)政府・地方自治体。米国証券取引委員会規則 17g-7(a)
項に基づく開示の対象となる場合、当該開示はJCRのホームページ(https://www.jcr.co.jp/en/)に掲載されるニュースリリースに添付しています。
■本件に関するお問い合わせ先
情報サービス部 TEL:03-3544-7013 FAX:03-3544-7026